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パブリッシャーを第一に考える、新しいテイクレートモデル

プログラマティック広告のオークションは、よりシンプルで透明性の高い仕組みを実現するために、ファーストプライス方式へと移行しました。理論上は、この仕組みによって、最高入札額が落札され、パブリッシャーが在庫の価値を最大限に得られる、よりオープンで効率的なエコシステムが実現するはずでした。

しかし、実際には、新たな非効率性を生み出す結果となりました。入札価格の変動が激しくなり、同じインプレッションの最高入札額と最低入札額の差が広がり、価格の予測性が低下しました。一部のプラットフォームは、この価格変動を利用してテイクレートを調整し、バイヤーの支払額とパブリッシャーの収益との差額を収益化していました。

こうした方法は、パフォーマンスと利益を不明確にし、パブリッシャーに不利な形でプラットフォーム側が利益を得る構造になっています。

これが、業界で、重要な問いを投げかけました。ファーストプライス方式が、透明性を提供する目的なら、何故、貴社の広告費がどこで使用されているのか明確に把握できないのでしょうか?

エクスチェンジの価値の仕組みを再定義する

Index Exchangeでは、持続可能なエコシステムは、すべての関係者の利益が一致してこそ成り立つと考えています。弊社の成長は、貴社の成長のうえに成り立っています。この理念に基づき、Index Exchangeは透明性の高いダイナミックテイクレートを開発しました。これは、価値の分配を完全に可視化しながら、オークションの効率を高めることを目的としています。

当社のモデルは、パブリッシャーの収益とフィルレートを最適化します。平等な収益モデル(弊社には、収益が発生しない場合もあります)を確立するために設計しました。システムが、テイクレートを低下させるのは、貴社がより多くのオークションで落札できるようにするためです。テイクレートが上昇するのは、全体のバランスを保つためです。パブリッシャーからより多くの利益を取ることが目的ではなく、プログラマティックオークションで失われた本来の価値を、取り戻していただくための仕組みなのです。

ダイナミックテイクレートの仕組み

  • バイヤーの入札価格が低い場合、一時的にテイクレートを引き下げ、競争力のある価格に調整することで、落札されるようにサポートします。
  • 一方、複数の入札が競争している際、パブリッシャーが入札成立をより確実に見込めるオークションでは、全体の収益バランスを取るために、テイクレートをわずかに引き上げる場合もあります。
  • パブリッシャーが設定したフロアプライスは常に優先され、常に最高入札額が落札されます。これにより、すべてのインプレッションが、確実にそのオークションにおける全てのデマンドの中で最も高い入札価格を反映します。
  • Indexは、請求期間全体を通じて、契約で定められたテイクレートを厳守します。この機能の設計により、パブリッシャーは各請求サイクルにおいて、契約通り、もしくはそれをわずかに上回るテイクレートで収益を受け取ることができます。

そして、これまでと同様、全てのインプレッションは、当社のClient Audit Logsとレポートから各取引を確認できるため、透明性が保証されます。

The Guardianの実例

グローバル展開するパブリッシャー「The Guardian」は、プログラマティック取引において透明性と効率性を重視しています。同社は、既存の運用環境やフロア戦略を損なうことなく、より柔軟で監査可能な価格モデルによって、落札率と収益効率を改善できるかを検証したいと考えました。

The Guardianは、この機能のテストに参加した、対象パブリッシャーの一社です。The Guardianは、透明性の高いダイナミックテイクレートを導入してすぐに、よい結果が確認できました。透明性とパフォーマンスは同時に維持できることを証明しました。

  • 収益増加率 4%
  • インプレッション向上率 45%
  • フロアプライスを引き下げたり、パブリッシャー側の設定を変えたりする必要なく結果を達成

「ダイナミックテイクレートは、収益の流れを非常に分かりやすくしてくれました。また、収益化やパートナーとの協働に対する考え方が大きく変わりました。」と、the Guardian 収益オペレーション&戦略バイスプレジデント デイブ・ストロース(Dave Strauss)は話します。

テストグループ全体で成功が確認できた後、Index Exchangeの透明性の高いダイナミックテイクレートを全てのパブリッシャーに提供開始しました。

ダイナミックテイクレートが重要な理由

シグナルロス、断片的なデマンド、ウォールドガーデンの独占により、わずかな効率性の向上がパフォーマンスを大きく左右する状況にあります。固定テイクレートでは、効率性が制限され、価値ある入札をブロックし、収益機会を見逃してしまいます。

ダイナミックテイクレートは、スマートな価格設定により、収益を拡大し、価値を見出すことができます。重要なのは、価格モデルは、貴社からマージンを取るのではなく、大きな収益を生み出すように設計されていることです。さらに、完全な透明性とコントロールも提供します。

透明性の高いダイナミックテイクレートが、収益拡大と透明性の維持を可能にします。バイヤーには、より多くのインプレッションを落札できることを意味します。パブリッシャーには、収益性の向上と、より安定した収益確保を意味します。より確実で、継続可能なエコシステムへ移行することを示しています。

Index Exchangeの透明性の高いダイナミックテイクレートが、利益ではなく、パフォーマンスを改善する透明性への姿勢を実現します。パブリッシャーの成功が、オープンインターネットの発展につながります。

透明性の高いダイナミックテイクレートが、貴社のビジネスにどのようなメリットをもたらすか関心をお持ちですか? お気軽にお問い合わせください。

Henry Stigler

Henry Stigler

プロダクトシニアディレクター

Henry Stigler(ヘンリー・スティグラー) は、Index Exchangeのプロダクトシニアディレクターとして、AI、データ、取引における効率化とAI主導の最適化に関する戦略的投資をリードしています。 アドテク業界で10年以上の経験を持ち、インターネット規模でのパフォーマンス向上に対する高い専門知識と情熱を兼ね備えています。 Index Exchange入社以前は、AppNexus(現AT&T傘下)に6年間在籍し、トランザクション、データ、レポーティングに関する複数のプロジェクトを主導しました。キャリアの初期はIBMにて、金融および保険業界向けのコンサルタントとして活躍しました。 プライベートでは、家族と過ごす時間のほか、ゴルフ、スノーボード、旅行を楽しんでいます。

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