広告ポッドと広告ポッド入札を支えるプログラマティック・テクノロジー
ストリーミングTVが最初に普及し始めた頃、プログラマティック環境は迅速に対応せざるを得ず、ウェブ向けに構築されたOpenRTB 2.5のような標準をTVに適用する必要がありました。これが、重複、同業種の2種類以上の広告を表示、フリクエンシーキャップといった問題を引き起こしました。
現在に至るまで、バージョン2.6の登場により、特に広告ポッドの進化を通じて、ストリーミングTVを大規模に取引可能な標準化されたツールがようやく整いました。
ストリーミングTVでは、コマーシャル枠を「広告ポッド」と呼びます。広告ポッド入札とは、これらの枠をプログラマティックで埋めるプロセスです。
柔軟性のある広告ポッドを導入
OpenRTB 2.6では、編成可能な広告ポッドの概念が導入され、パブリッシャーが広告ポッドの構成を決定できるようになりました。
パブリッシャーは、視聴者に表示する広告数に関して、それぞれ異なる収益化のニーズや優先事項があります。フレキシブル広告ポッドにより、収益を最大化しつつ、良好な視聴体験を維持する形で、広告枠をダイナミックに構成することができます。
広告ポッドには3種類あります。
- 既定の広告ポッドは、固定数の広告をすべて設定された長さで埋めます。パブリッシャーは、広告ポッドをどのように返してほしいか正確に定義したリクエストを送信します。
- ダイナミック広告ポッドでは、パブリッシャーは広告ポッドの合計時間を指定し、広告枠の数と長さに柔軟性を持たせます。バイヤーは10秒、15秒、30秒、60秒、あるいは90秒の広告ポッドを返し、この枠を埋めます。パブリッシャーは受け取ったデマンドに応じて、リアルタイムで広告ポッドを構成します。
- ハイブリッド広告ポッドは、既定広告ポッドとダイナミック広告ポッドの特性を組み合わせたものです。例えば、最初の60秒間は広告枠数を変更可能に設定しつつ、最後に固定の30秒枠を設けるといった構成が可能です。パブリッシャーは、1枠をプログラマティックギャランティードで提供しつつ、残りの枠については、柔軟性を維持できます。
当初は既定の広告ポッドの採用が主流でしたが、現在の市場は、ダイナミック広告ポッドへと移行しています。パブリッシャーにとって、この移行は極めて重要です。なぜなら、在庫の競争を強化し収益向上の可能性を高めつつ、収益化と中断されない視聴体験のバランスを調整する手段を維持できるためです。
広告ポッドの入札
パブリッシャーは、詳細な広告ポッドの構成をリクエストに含めて送信できるため、バイヤーは、広告の重複や同業種の広告を配信しないよう応札できます。
- 広告ポッド入札を可能にするOpenRTBフィールドを見てみましょう。
- 入札リクエストにおいて、「poddur」フィールドはバイヤーが広告ポッドのダイナミック部分を埋められる合計時間を秒単位で示します。
- 「minduration」と「maxduration」フィールドは、特定の広告枠に対するバイヤーの入札で許容時間範囲を秒単位で指定します。
- あるいは、セラーが「rqddurs」を使用して、各広告配置ごとに細かく許容時間を指定することも可能です。これは、広告時間が確定していない場合に放送中断や広告の短縮が発生するライブ配信TVで活用できます。
- 「maxseq」フィールドは、ダイナミック広告ポッド内で配信可能な広告の最大数を示します。
- 最後に、ダイナミック広告ポッドには動的価格設定が求められます。「mincpmpersec」フィールドにより、パブリッシャーは1秒あたりのCPMに基づく動的フロアプライスを設定でき、これによりフロアプライスはクリエイティブの時間に比例して高くなります。あるいは、「durfloor」フィールドを使用すれば、単一のリニアスケールではなく、複数のクリエイティブの時間ごとの価格設定が可能です。
広告配置を明確化
バージョン2.6では、広告配置の共有も導入されました。リニアTVでは、コマーシャル枠における最初と最後の広告、あるいは番組内の最初と最後のコマーシャル枠がプレミアムポジションであることは周知の事実です。
これまで、バイヤーはこれらの広告枠をプログラマティックでターゲティングできず、パブリッシャーも適切に収益化できませんでした。 OpenRTB 2.6は、複数の広告ポッドとスロットの位置を区別するオプションフィールドにより、この状況を改善します。
- 「podid」フィールドにより、パブリッシャーは各広告ポッドにIDを割り当てることが可能となり、単一の入札リクエスト内で複数の広告ポッドを販売できるようになります。
- 「podseq」は、特定の広告ポッドが番組内の最初、最後、あるいは中間のいずれに位置するかを明示します。
- 「slotinpod」は、広告ポッド内における広告スロットの位置を定義します。例えば、最初、2番目、最後といったスロットの位置です。
一方、メディアバイヤーは入札対象となる広告ポッドを決定し、入札応答において「Slotinpod」フィールドを活用することで特定の位置をターゲティングできます。
広告ポッド入札により、パブリッシャーはバイヤーのデマンド、独自の収益化ニーズ、希望する広告配信回数に基づき、各広告ポッドをダイナミックに構成することができます。これにより、広告収益と広告配信量、視聴者体験のバランス調整における選択肢が広がると同時に、収益最適化のコントロールが向上します。
例えば、パブリッシャーが番組全体またはストリーミング全体の目標収益を設定し、最初の2、3個の広告ポッドでその目標を達成した場合、残りの広告枠を削除または短縮することが可能です。
広告ポッドがサステナビリティ向上に貢献
さらに、こうした広告ポッド機能はプログラマティック広告の効率性とサステナビリティを高めます。当社がPublicaおよびThe Trade Deskと共同で実施した調査によれば、この効率化により広告選択に伴う炭素排出量が84%削減*されることが分かりました。
その理由は、広告ポッド導入前は、広告サーバーが1つの広告枠に対して3つのSSPに8件のリクエストを送信し、一つの枠に対して24回のリクエストが発生していたためです。広告ポッド入札では、これがわずか3回のリクエストに集約されます。収益や視聴体験だけでなく、無駄を削減し、ストリーミングTVにおいてサステナビリティを向上することにもつながるのです。
成長とスケールを支える業界標準を採用
OpenRTB 2.6のような標準は、ストリーミングTV業界がプログラマティック広告のメリットを最大限に活用する上で極めて重要です。パブリッシャーは収益を最大化し、バイヤーは予算を最大限に活用でき、視聴者はより良い体験を得られます。
業界のニーズに伴い、標準規格やプロトコルは絶えず進化しています。例えば現在、ライブ配信イベントやストリーミングに関する標準化の改善に向け、業界の大手企業と連携を進めています。
プログラマティックストリーミングTVのさらなる普及を実現するためには、最新のガイドラインや機能を導入することが、全ての業界関係者にとって極めて重要です。
ストリーミングTVの可能性について詳しくご覧ください。



