広告詐欺からキャンペーンを守る
広告詐欺に関するニュース記事は注目を集めますが、時に全体像を見失いがちです。ブランドセーフティと広告詐欺は深刻な問題です。一方で、その影響範囲と規模を理解することが、プログラマティック・エコシステムで自信を持って対応していくための鍵です。
ブランドセーフティと広告詐欺は、実際には何を意味するのか?なぜマーケターも注意すべきなのか? そして、キャンペーンを守るためにパートナー企業にどんな質問をすべきか?
つまり、ブランドセーフティとは、ブランドの評判を守ることであり、広告が有害または不適切なコンテンツの隣に表示されないようにすることです。ヘイトスピーチ、 暴力、アダルトコンテンツ、違法なものなどを考えてみてください。
一方、単純なケースばかりではありません。ブランド適合性とは、広告を貴社独自のブランドに適したコンテンツタイプと一致させることです。例えば、自然災害に関する速報記事は 正当なニュース報道かも知れませんが、ファミリー向け旅行ブランドの広告には、不適切なコンテンツになる場合あります。
ブランドセーフティと適合性を実現する方法
ブランドセーフティと適合性を実現するため、ブランドとそのパートナー企業は自動化ツールと人による監視を組み合わせて活用します。現在、多くのブランドセーフティ事業者は、キーワード除外リスト、URLやドメインの分析、コンテクストターゲティングの条件などの機能を使い、広告が表示される可能性のある環境を審査しています。
これらのツールは、広告が配信される前にブランドの基準を満たさないコンテンツを検知し、除外するのに役立ちます。 しかし、自動化は万能ではありません。そのため、信頼性のあるプラットフォームは、人による確認やコンテンツ編成の管理にも注力しています。特に、自動化ツールが見落としやすい例外ケースや判断が難しいコンテンツに関しては、人的な確認が重要です。
同様に重要なのが、広範なエコシステムの役割です。SSPのようなプラットフォームは、独自の品質保証プロトコルを作成すべきです。パブリッシャーの審査、在庫の監査、そして厳しいコンテンツや透明性の基準を満たす企業とのみ提携することです。
多層防御システムだと考えてください。リアルタイムでフィルタリングする 自動化ブランドセーフティツール、人的な判断と報告、そして、誰が参加できるかを決定し基準を設定するプラットフォームです。
広告詐欺と無効なトラフィックの定義
では、次に広告詐欺についてお話しします。これには、無効トラフィック(IVT)が含まれます。大まかに言うと、IVTは、人以外が生成するページビュー、広告インプレッション、クリックを指します。
IVTには2種類あります。
- 一つ目は、一般的な無効なトラフィック(GIVT)。このトラフィックは、通常悪意がなく検索エンジンが、ウェブページを解析するために使うボットなどです。 GIVTは、クローラーリストのようなGIVTは、クローラーリストのような比較的容易な方法で検知できます。
- 二つ目は、悪意のある無効なトラフィック(SIVT)です。これは、 意図的で悪意のある行為です。 SIVTは、不正業者などが、高度な技術を用いて無効トラフィックや不正行為を生成することで発生します。 このような業者は、マルウェア、なりすまし 、クリックファーム、そして現在はAIツールを利用し、トラフィックを偽装し検知を回避しています。 つまりSIVTを検知するには、より高度な分析と人間の介入が必要となります。
重要なのは、一般的なIVTは非効率性を生む一方で、SIVTは意図的に欺瞞的であり、経済的な損害をもたらすということです。
どちらも問題ではありますが、必要な対策は異なります。
広告詐欺を検知し、被害を防ぐ方法
広告詐欺に関する見出しは、不安をかき立てますが、冷静な視点を持つことも大切です。プログラマティックは、非常に大きな規模で取引します。Index Exchangeだけでも、毎日5000億件以上の取引を処理します。 実際の詐欺行為は、それと比較すると非常にわずかです。
1件のクレジットカード不正利用を聞いて、ネット銀行全体が壊れていると思い込むようなものです。リスクが存在しないという意味ではなく、正確さと状況に適した対応が不可欠だということです。
では、どのように判断すべきでしょうか?詐欺を防ぐには、技術的ソリューションに加えて、パートナー企業との関係性を含めた多角的なアプローチが必要です。
まずは、技術的な検知から見ていきましょう。これは、入札前と入札後に実行します。
- 入札前検知では、既知のパターンやシグナルに基づき、広告が配信される前に、入札リクエストを審査するツールを使用します。 怪しいと判断されると、広告が配信される前に除外されます。
- 入札後検知では、配信された後のインプレッションを評価するツールを使用します。 これらのツールは、検知をすり抜けたIVTを見つけ、その詳細情報をシステムにフィードバックし、検知モデルの学習を継続させます。
これにより、フィードバックループが生まれます。入札後の詳細情報は、入札前のフィルターを強化します。重要なのは、多くの場合、広告が後からIVTとしてフラグ付けされた場合、ブランドは、それに対して料金を支払う必要がありません。そのインプレッションは無効化され、契約内容によっては広告費が返金されます。
AIが現状をより複雑にしているのは、確かです。AIによるクローラープログラムの増加は、一般的なIVTをさらに増やしています。またAIは、より高度な詐欺も可能にしています。その一方で、AIは、 スマート検知も実現しています。だからこそ、モデルを常に更新し、進化する脅威に適応するパートナー企業と協力することが重要です。
パートナー企業に確認すべき質問
そして、忘れてはいけないのがサプライチェーンには、複数の関係者が存在し、それぞれが広告配置やパフォーマンスに影響を与えるということです。
最終的には、基本的な原則に行き着きます。「誰と仕事をしているのかを知ること」です。
パートナー企業を審査し、パートナー企業の取り組みを理解し、データを徹底的に調べることを躊躇しないでください。ブランドセーフティと品質に関して、信頼は得られるものであり、検証されるべきものです。
ここでパートナー企業に確認すべき、役立つ質問をいくつか紹介します。
- あなたのブランドセーフティや不正対策のベンダーはどの事業者で、入札前後でどのような対策を提供していますか?
- IVTに関して、どのような方針を持っていますか?
- 在庫やパートナー企業をどのように審査していますか?
- どのような品質保証の取り組みを実施していますか?
- どのようなレポート機能を利用できますか?
- すべての在庫が、Ads.txt、Sellers.json、SupplyChain bjectといった透明性の基準に準拠していますか?
このような質問に対して明確な答えを得ることで、単にメディアに投資するのではなく、信頼できるメディアに投資していることを確実にします。
デジタル広告に、より安全なアプローチ
デジタルキャンペーンが、ますます複雑になる世界で、ブランドは、こうした細かな要素を運任せにはできません。ブランドセーフティや詐欺が実際に何を意味するのかを理解し、適切な質問を投げかけることで、広告費をよりスマートに、より安全に、そして適切に活用できます。
貴社のキャンペーンを詐欺から守る方法をお探しですか? Index Exchangeの広範なブランドセーフティ、詐欺防止、品質管理に対するアプローチについて、お気軽にお問い合わせください。
この動画の制作に携わった、シニアプロダクトマネージャーのジェレミー・グラント(Jeremy Grant)に感謝します。



