入札リクエストの内容を理解する

Robert Lawrence, Head of Product Marketing
プログラマティック広告において、入札リクエストはリアルタイムオークションの中心となっています。マーケターがインプレッションに対して、入札するかどうかまた入札価格を決定する上で、重要な情報が含まれます。この業界で長年働いていても、実際にOpenRTB入札リクエストを見る機会がなかったかもしれません。今回は、Index Exchangeのプロダクトマーケティング責任者、ロバート・ローレンスが、入札リクエストの内容を一つひとつ見ていき、関係者間でデータがどのように共有されているか、また透明性が効率化とリアルタイムオークションで重要な理由を解説します。

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入札リクエストとOpenRTBについて

プログラマティック広告において、入札リクエストはリアルタイムオークションの中心となっています。マーケターがインプレッションに対して入札するかどうか、また入札価格を決定する上で重要な情報が含まれます。入札リクエストの仕組みを一つひとつ見ていき、OpenRTBプロトコルと広告オークションを実行するための情報がどのように共有されているか、理解を深めていただきます。

OpenRTB 2.6とは

ご存知かもしれませんが、プログラマティック広告は、異なるシステム間で標準化された、コミュニケーション方法に依存しています。このコミュニケーションの核となるのが、OpenRTB、つまりオープン・リアルタイムビディングと呼ばれるプロトコルです。これは、アドテクの共通言語と言えます。OpenRTBでは、入札リクエストと応札は、JSONつまりJavaScript Object Notation形式で、変数名と値のペアを中括弧で囲い、読みやすく理解しやすいオブジェクトで構成されています。

広告関連情報を標準化した方法で提供することで、OpenRTBはパブリッシャー、マーケター、そしてSSPやDSPなどのプログラマティック・サプライチェーンの関係者がオークション中に理解し合えるようにしています。重要なのは、これにより入札プロセスの透明性が高まり、サプライチェーンの各関係者が、適切な判断を下すために必要な情報を確実に得られることです。

広告機会が発生すると、SSPはDSPに入札リクエストを送信します。DSPはそれを評価し、応札する場合があります。DSPは広告サイズ、コンテンツタイプ、オーディエンスデータ、過去のパフォーマンスなどのデータを瞬時に分析し、入札するかどうか、また入札価格を決定します。

このプロセス全体は、ミリ秒単位で発生します。マーケターは効率的かつ大規模に、適切な価格で関連性の高いメッセージをオーディエンスに届けられます。

DSPは入札リクエストに含まれる複数のアトリビューションを評価します。これらのアトリビューションは、OpenRTBの標準で指定された構造化データとして記述されます。では、入札リクエストの主要なオブジェクトを見ていきましょう。

インプレッションオブジェクト

まず最初は、利用可能な特定の広告機会を示すインプレッションオブジェクトです。これには、以下の内容が含まれます。

  • ディスプレイ広告のバナーサイズ
  • 動画広告の尺、または複数の動画広告で構成する広告枠「広告ポッド」の尺
  • そしてオークションに参加するための必須条件である最低落札価格、フロアプライス

ディールオブジェクト

入札リクエストには、インプレッションオブジェクト内に存在するディールオブジェクトも含まれることがあり、これはバイヤーとセラー間で事前に合意したディールのパラメータを詳述します。これで固定価格が設定されたり、プレミアムインベントリへのアクセスが提供されたりします。

このような詳細情報は、DSPに与えられた機会がキャンペーンの要件に合致するかどうか判断するのに役立ちます。

サイトとアプリオブジェクト

次に、パブリッシャーと広告が配信されるプロパティの情報を共有するサイトまたはアプリオブジェクトがあります。ウェブサイト上の広告機会では、サイト名とドメインの項目を含むサイトオブジェクトが使用されます。

モバイルやストリーミングアプリの広告機会では、アプリオブジェクトが使用されアプリ名が含まれます。 

コンテンツオブジェクト

サイトとアプリオブジェクト内には、コンテンツオブジェクトがあります。 ストリーミングなどの環境では、コンテンツオブジェクトに以下のような非常に詳細な情報が含まれます。

  • ジャンル
  • ライブ配信のステータス
  • コンテンツのレーティング
  • 言語
  • チャンネルまたはテレビ局
  • シリーズ名、シーズン数、放送回のタイトルなどの番組情報

このような詳細情報により、バイヤーはコンテキストに関連性の高い広告を配信できます。

デバイスオブジェクト

デバイスオブジェクトは、アドレッサビリティに必要な情報を提供します。
含まれる内容:

  • デバイスの種類とOS
  • 地理情報
  • IPアドレス
  • アプリ環境の広告識別子(IFA)

この情報により、DSPは、特定のオーディエンスにリーチし、各画面に合わせてクリエイティブのフォーマットを調整できます。  

ユーザーオブジェクト

ユーザーオブジェクトには、広告機会を閲覧している消費者に関する情報が含まれます。これらの項目は匿名化した識別子を使用し、プライバシーを保護しながらバイヤーが関連性のあるオーディエンスにリーチ可能になります。ユニバーサルIDが利用可能であれば、EIDオブジェクト内に含まれます。ユーザーオブジェクトには、個人データの取り扱いに関して、消費者から提供された同意情報も含まれる場合があります。

SupplyChain(サプライチェーン)オブジェクト

最後に、SupplyChain object、つまりschainです。これは、元のパブリッシャーから最終的な購入者まで、入札リクエストの全ての取引経路を詳細に開示します。これにより、取引の支払いに関わる全ての企業を明確にし、透明性を確保します。

業界標準を導入することでエコシステムを改善

OpenRTBプロトコルは、プログラマティック広告の基盤として、すべての関係者がコミュニケーションを図るための標準を提供し、透明性のあるエコシステムを構築しています。IAB Tech Labが、業界の変化するニーズに対応するため新しい項目やアトリビューションを入札リクエストに採用することで、このプロトコルは継続的に進化しています。例えば、OpenRTB 2.6では、ストリーミングTVに対応するための重要な新機能が導入されました。

一貫したコミュニケーション、インベントリの正確な記述、透明性の向上を確保するためにサプライパスすべての関係者が最新のガイダンスを実装することが重要です。

OpenRTB2.6がストリーミングTVに新しいビジネス機会をもたらします。