プログラマティック広告は、セルサイドにおける早期的かつ適切な決断が、オークションプロセスのスマート化を促進しています。これにより、パブリッシャー、バイヤー、テクノロジー企業の関係性は再定義されつつあります。
これまで、プログラマティックでのセルサイドの主な役割は、広告インベントリを共有し、プログラマティック・オークションを実施することでした。そして、決断に関しては、通常、DSPおよび入札者が行っていました。
しかし、現在それが変わりつつあります。
SSPのインフラと処理能力が、今日のデジタルメディアの複雑さに追いつき、セルサイドは、パスとしての役割よりインテリジェント管理システムへと変化しています。
現在、セルサイドは、サプライとのつながりで常にアクセス可能であったにも関わらず、活用できていなかった、ページコンテクスト、コンテンツ品質、ファーストパーティデータなどのリッチで価値の高いシグナル全てを利用できるようになりました。この変化により、インベントリの価値、最適化、有効化が見直されています。
当社では、この変化を「セルサイドの価値創出」と呼んでいます。利用可能な全てのインベントリに、インテリジェンスが適用されることで、(セルサイドのシグナルは、結果的に、インターネット全体に広がり)セルサイドがエコシステム全体のよりスマートな結果を生むための基盤になります。
セルサイドの価値創出:オークション開始時から入札をスマートに
セルサイドの最適な決断で、実現できることを見ていきます。全ては、セルサイドの取引にある、一瞬でありながら、影響力のある瞬間から始まりました。
SSPは、10ミリ秒以下で広告機会を評価し、入札を作成する必要があります。これまで、通常バイサイドで行われる決断が、セルサイドで可能になるとは想像できませんでした。
クラウドインフラ、並列処理、エッジコンピューティングが発展したおかげで、SSPが、入札前にオープンインターネット全体からシグナルを活用できる瞬間が生まれました。また、入札前に、インテリジェンスを適用するため、オークションのプロセスに影響を与えることはありません。
データ、アルゴリズム、クリエイティブテックなどのインテリジェンスを入札リクエスト送信前にインベントリに適用することで、従来、バイサイドで入手していた価値が、現在ではオープンインターネットのコンテクスト全てを、インプレッションに近い段階で活用できるようになりました。
これにより、セルサイドとバイサイドが連携し、誰が入札リクエストを確認するか、誰がフロアプライスを設定するか、データを利用するか、クリエイティブのルールを導入するかなど、詳細な情報を入手可能になります。
これは「第2のイノベーションの原動力」として、DSPとシームレスに連携され、ブランドや広告代理店がSSPの持つリーチと柔軟性を、まったく新しい形で活用できるようにしているのです。
アクセス可能な在庫のほんの一部のオーディエンスをターゲティングする代わりに、(多くの場合QPS制限後にターゲティング)バイヤーは、オープンインターネット全体をターゲティングできます。この規模について説明すると、当社は、1日5,000億件のオークションを処理しています。
この規模の大きさは、バイヤーにメリットがあるだけではありません。キュレーションにより、バイヤーは、自社が選んだDSPが、キャンペーン独自の目的に適した、高品質で関連性のあるインベントリのみを確実に受け取れるようになります。さらに、パブリッシャーにとっても、自らのオーディエンスが持つ本当の価値を可視化できるとともに、新しいダイレクトディールの機会を得られます。
これは、プロフラマティックにおいて、ヘッダービディングとリアルタイムビディングが導入されて以来の画期的な進展です。
業界がどのようにセルサイドの価値創出を取り入れ、イノベーションを促すか
インテリジェンスの活用がインプレッションに近づくにつれ、データおよび各ソリューションを導入する新しい方法を生み出し、ターゲティング精度や広告品質の改善から、オークションの効率化に至るまで可能にします。
以下は、企業がセルサイドの価値創出を有効活用している方法です。
1.セルサイドで行うキュレーション
セルサイドのキュレーションは、セルサイドの価値創出とは異なります。キュレーションは、今は、サプライサイドのシグナルを活用する数多くの活用事例の一つです。Index Exchangeのマーケットプレイスのようなプラットフォームのおかげで、メディアバイヤーやソリューションプロバイダーのような企業は、独自のディールをまとめ、自社データまたは他社のデータやソリューションをどのようにターゲティングおよびパフォーマンス改善に活用するかコントロールできます。
2.最適化のための意思決定
デマンドサイドのアルゴリズムは、これまでパフォーマンスのために最適化されてきました。そして、現在は、セルサイドでも同様のことが可能です。勝率、純収益、マーケターが目標とする結果、クリエイティブのパフォーマンス、ブランドセーフティの結果を基に学習したモデルが、どの入札に応札するか、どのオークションを形成するか、短期的な収益と長期的な品質のバランスをどう保つか判断するために使用されています。
3.その他活用方法
コマースメディアネットワーク、クリエイティブテック企業、計測企業などの事例が既に登場しています。より効率的で、プライバシーに配慮した、適切な番組ごとのデータを利用したいストリーミングTVのバイヤーのために、新しいソリューションも増えています。
新しい活用事例は、拡大し続けています。ウォールドガーデンができることをオープンインターネット全体で再現することにより、セルサイドで行う最適な決断が、より大きな機会を創出します。さらに、どの事例が幅広く活用されるかを予測することは、そこから何が創出されるか予測を立てることと同様に難しいでしょう。
セルサイドの価値創出:パートナーシップによる強化
パートナーシップを優先したアプローチと一致させることが、新たな事例を見つけるための鍵です。セルサイドの価値創出を最大限に活かすには、ほんの一部の関係者のみが恩恵を受けるようでは、実現できません。不要なプラットフォーム手数料、不透明なレポート、十分にコントロールができないなどの妨げを取り除き、パートナー企業がお互いに支え合えるようになるべきです。
セルサイドが、結果に対応するのみでなく、結果を変えられる手段を持ち合わせていることで、価値と共にイノベーションが発展します。大手企業やウォールドガーデンのみならず、全ての関係者がインテリジェンスを適用できるようにすることが、より健全で平等なプログラマティックなエコシステムの形成につながります。
Indexマーケットプレイスのようなプラットフォームが、追加料金なしで、オープンAPIとして、パブリッシャーからデータプロバイダー、ソリューションプロバイダーまで、あらゆる関係者が自分たちの強みを活かせるインフラを徐々に実現しつつあります。
これは、単なる表面的な印象ではなく、市場に必要な根本的な要素です。決断する権利が、平等に提供されることで、全ての関係者が恩恵を受けられます。
- 高品質な在庫を持つパブリッシャーは、スケールのみでなく、その価値を最大限に活用し、正当に評価されます。
- メディアバイヤーは、単にインプレッションが多いだけでなく、より効果的で成果につながるディールにアクセスできます。それは、より関連性が高く、パフォーマンスの良い広告枠にアクセスできるためです。
- 革新的なターゲティングや最適化ツールを展開するソリューションプロバイダーは、最初から大規模に最適な決断を行うことができ、接続やメンテナンス作業のための開発コストを抑えることができます。
セルサイドの価値創出は、プログラマティック・オークションが始まる前に、本来のインテリジェンスを導入でき、オークション開始時から入札がスマートであることを目指します。より多くの企業が関わることで、プログラマティックの仕組みを見直すだけでなく、全ての関係者にとって、より速く、公平に、パフォーマンス重視になるよう再構築されます。
Indexマーケットプレイスで、セルサイドの価値創出を実現し、より優れた成果を生みだす方法をご確認ください。
ブログに戻る