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広告ポッド:OpenRTB 2.6がストリーミングTVをどう変えるか

2022年初頭にOpenRTB 2.6が発表されて以来、ストリーミングTVを大きく変える様々な新しい機能が提供されました。  

IAB Tech Labは、Index Exchangeとその他プログラマティックに関わるリーダー達と協働し、TVに特定したニーズに対応し、チャネルにおける効率性、規模、透明性を向上することを目的としてOpenRTB 2.6を開発しました。  

業界標準が発表されてから2年近く経ち、ストリーミングTVには、どのような影響があったのか詳しく見ていきましょう。  

ストリーミングTVで広告ポッドを実現 

OpenRTB 2.6の機能の中で最も重要かつ期待が大きかったのが、テレビCMと同じユーザー体験をもたらす、フレキシブル広告ポッドでした。広告ポッド入札は、メディア企業に収益化や広告ポッドの構成により細かいコントロールをもたらし、バイヤーに更に優れたターゲティングと測定機能をもたらします。 

OpenRTB 2.6は、主にサプライサイドで導入が進んできました。現在は、多くのアドサーバー、エクスチェンジ、SSP、Index Exchangeも、広告ポッドに対応しています。ほとんどのDSPが、ストリーミングTVの広告機会を最大限に活用するために入札アルゴリズムを最適化しています。 

OpenRTB 2.6は、既定の広告ポッド、ダイナミック広告ポッド、ハイブリッド広告ポッドの3種類のフレキシブルな広告ポッドを導入しました。当初は、既定の広告ポッドが最も注目されていました。現在、当社はほぼ全てのサプライをダイナミック広告ポッドへ移行し、バイヤーが広告ポッドに含まれる可能性のある広告に、より柔軟に入札できるようになりました。 

プログラマティック広告の効率性を強化 

OpenRTB 2.6は、効率性とサステナビリティを大幅に改善することがすでに証明されています。Publica社とThe Trade Desk社が実施した調査(英語)によると、広告ポッドは、広告選択の際に発生する炭素排出量を84%削減することが分かりました。  

広告ポッドが導入される以前は、アドサーバーが1つのコマーシャル枠に対して複数のスロットリクエストを送信していました。1つのアドサーバーが、8件の入札リクエストを接続するSSP 3社に送信すると、1つのコマーシャル枠に対して24件のリクエストを送信することになります。  

広告ポッドは、これらのリクエストをわずか3件のリクエストに抑え、サプライチェーンのすべての関係者の大幅な効率向上と電力削減につながりました。 

広告ポッドは、同じ広告を繰り返し配信しない、また同業種の広告を一緒に表示しないようにするため、視聴体験の改善にも重要な役割を果たします。効率性の向上と共に、メディア企業にとってより高い収益化、マーケターにとってはより高いパフォーマンスを意味します。  

透明性を向上 

OpenRTB 2.6は、ストリーミングTVにおける透明性の課題を解決するためにも考案されました。コンテンツオブジェクトに新たなフィールドを導入し、メディア企業がチャンネル、ジャンル、番組情報などの関連情報をバイヤーに送信するための方法を標準化することができました。  

OpenRTB 2.6が普及され、コンテンツシグナルを改善するための、一貫したフレームワークを確立しました。コンテンツシグナルを入力するかどうかは、メディア企業次第です。それぞれの企業で、異なるニーズ、プライバシーポリシー、バイヤーの条件があり、それぞれがシグナル共有に異なるアプローチを取る可能性が高いです。  

現在、当社では、ジャンルやテレビ局など最も重要なシグナルが、よく共有されているのを確認しています。これにより、メディア企業が何を購入しているのか詳細を把握でき、適切なコンテンツ内で正しいオーディエンスにリーチできるようになります。  

OpenRTB 2.6の新しい機能  

2023年8月のアップデートで、IAB Tech Labは、フロアプライスのシグナル方法を改善するために、クリエイティブの尺別フロアプライスという、新しいコンセプトを追加しました。既存のmincpmpersecフィールドにより、1秒毎のCPMを基にしたダイナミックな価格設定が可能(フレキシブル広告ポッド必須)である一方、メディア企業がバイヤーのクリエイティブの尺に応じてフロアプライスを指定することは困難でした。 

尺別のフロアプライスは、メディア企業がクリエイティブの尺に応じて様々な範囲でフロアプライスを指定することができます。現在は、音声、動画、ディールオブジェクトで、durfloorsが利用可能になりました。 

今後について 

今後、OpenRTB 2.6に限らず、ストリーミングTVを改善する戦略が導入されます。  

リニアTVとデジタルの一体化を推進すべく、IAB Tech Labは、クリエイティブをトラッキングするためにVASTのユニバーサル広告IDのサポートを強化しており、当社でも対応の準備をしています。これで、メディアバイヤーは、リニアTVとデジタルTVを横断して、自社の広告効果をトラッキングできるようになります。  

さらに、当社では、様々なリアルタイム動画イベントの測定を改善する、IAB Tech LabのOpen Measurement SDKの強化も支援しています。現在開発中の機能で特に期待されているのは、テレビを消している間に広告が配信されているかどうかを検出するというものです。これは、広告のビューアビリティを改善し、広告キャンペーンのパフォーマンスの最適化に繋がります。  

OpenRTBやVASTのような標準は、ストリーミングTV市場に参加するステークホルダー間の相互運用性を構築し、市場の拡大に重要な役割を果たします。一方で、テクノロジープラットフォームが独自のイノベーションを推進し、リニアからデジタルTVへの移行を加速する余地はまだあります。 

例えば、Index Exchangeが、上述の標準に則ってイノベーションを推進すると共に、広告ポッドのような機能に加えて、独自の最適化や、効率化とパフォーマンスを推進する予測インテリジェンス測定を開発しました。また、当社は、メディア企業がライブイベントやスポーツ番組を収益化できるようにする一方で、このようなライブイベントにまつわる機会損失からバイヤーを保護するために、インフラの強化に注力し続けています。当社がライブイベントにもたらすこの効率性は、(ほとんどの場合で消費電力が無駄になってしまう)急激な入札激化時のためだけに、インフラを拡大する必要なく、バイヤーが効率よくライブイベントに入札できるようサポートします。  

プログラマティック・ストリーミングTVの可能性を最大限に活用する方法は、Index ExplainsのストリーミングTVシリーズをぜひご覧ください。  

Rob Hazan

Rob Hazan

ストリーミングTV 製品担当バイスプレジデント

アドテクノロジー業界で10年以上の経験を持つロブ・ハザン(Rob Hazan)は、現在Index Exchangeでオムニチャネル製品の戦略、開発、配信を担当しています。 Index Exchange入社以前は、GoogleとAppNexus(現Xandr)でプログラマティック・エコシステムの売り手と買い手の両方の役割を担ってきました。Googleでは、プロダクトマネージャーとして、パブリッシャータギング、広告レイテンシー、データ規制(GDPRやCCPAなど)の遵守を担当しました。 世界最大のヘッジファンド、Bridgewater Associatesでソフトウェアエンジニア、ビジネスアナリストとして活躍した経歴があります。プリンストン大学でコンピュータサイエンスとファイナンスの学位を取得しました。現在、妻と2人の子供、そして愛犬とともにボストン近郊に住んでいます。

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