広告ポッドがサステナビリティの向上にどう役立つか

Catherine Cho, プロダクトマネージャー
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動画広告の100万インプレッションは、CO2を1トン排出(英語)することをご存知でしたか?これはボストンとロンドンを往復するフライトのCO2排出量に相当します。日々の多くのプログラマティック取引を考えると、広告業界では大量のCO2を排出しています。今回の動画では、Index Exchangeのプロダクトマネージャー、キャサリン・チョー( Catherine Cho)が、ストリーミングTVとプログラマティック広告の広告ポッドがサステナビリティの向上にどう役立つかお話します。

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デジタル広告のCO2排出量を削減

広告業界では大量のCO2を排出している一方、多くの企業がネットゼロ排出量の目標達成に向けて、サステナビリティの取り組みに投資する予算を増やし始めています。 

このシリーズの他の動画で説明したように、広告ポッドではOpenRTB 2.6を導入しておりメディア企業、バイヤー、TV視聴者にメリットをもたらしています。ストリーミングTVのプログラマティック取引に効率性をもたらし、さらにはCO2排出量を削減しています。 

全体像を見てみましょう。広告ポッドとは、コマーシャル枠内の広告スロットの集まりです。120秒の広告ポットには、15秒、30秒、60秒、90秒の広告スロットが含まれています。 OpenRTB 2.6で広告ポッド入札を導入するまでは、メディア企業やバイヤーは、広告スロットを個別に取引する必要がありました。今ではこうした複数の広告スロットを1つの広告ポッドにまとめ、1つの入札リクエストで取引することができます。 

広告ポッドがプログラマティックに更なる効率性をもたらす

これにより取引量が大幅に削減されることが理解いただけると思います。具体的に考えてみましょう。木曜日の夜だとして、スマートTVのアプリ上で好きな番組を視聴しています。最初のCMが流れて来そうです。 

まず、サプライチェーンで広告ポッドサポートが無い場合のフローを見てみましょう。

  1. 広告サーバーがコマーシャル枠の全体の長さを確認します。120秒だとします。次に、最低15秒の入札リクエストを8件生成します。 
  1. 広告サーバーは、この入札リクエストを接続している3つのSSPに送信します。1つのコマーシャル枠に対して24件のリクエストが発生します。 
  1. 各SSPは、このリクエストを接続している5つのDSPに送ります。3つのSSPの24件のリクエストが、5つのDSPに送られて、合計で120件のリクエストになります。 

広告ポッドのリクエスト図

つまり1人の視聴者に対する120秒の広告ポッドが、120件の入札リクエストになり、その処理に必要な電力の使用がCO2の排出につながります。さらに、各リクエストには、識別子やアプリのバンドル情報など重複データも含まれます。余分な電力を消費し、大量のデータを送信することになります。 

エコシステムで業界全体がOpenRTB 2.6を導入して広告ポッドをサポートした場合

  1. 広告サーバーが120秒のCM時間を1つの広告ポッドリクエストとみなします。それを3つのSSPに送信します。 
  1. SSPは、1つの広告ポッドリクエストを5つのDSPパートナーに送信します。1人の視聴者に対する1つのコマーシャル枠に対して、15件のみ入札リクエストが生成されます。 

広告ポッドリクエストの図

これは大きな削減です。特に、番組に対して多数のコマーシャル枠があり、多数の番組に何百万人もの視聴者がいると考えるとなおさらです。 

しかし、広告はまだ表示されていません。収益を確保する方法を考えなければいけません。

分かりやすく説明いたします。1つの広告サーバー、1つのSSP、3つのDSPがあるとします。各DSPには異なる入札レスポンス率があります。 

広告の重複を避けて、良い視聴体験を提供するためです。1つの広告ポッド内で、同じ企業やクリエイティブが繰り返し表示されるのは適切ではありません。誰も同じCMを連続で見たいとは思いません。 

  1. 広告ポッドがない場合、DSPは8件の入札リクエストをそれぞれ別のものとみなし、同じ広告ポッド内のものだとは理解できません。そのため、同じ入札の組み合わせで何度も入札を返してしまいます。 

例えば、DSPのAは、マクドナルドとナイキで3つレスポンスを返す可能性があります。 DSPのBはバイエル、コカ・コーラ、フォードで4つレスポンスを返すかもしれません。 DSPのCは、4つのレスポンスにマリオットとドミノで返す可能性があります。 

2. SSPはこうした入札をDSPから受け取りますが、8つの入札リクエストが1つの広告ポッドに属するものだとは把握できません。その結果、集められたレスポンスで入札が繰り返し行われます。 

SSPまたは広告サーバーは、22件の入札を処理してVASTを解除して重複する入札を削除し、1つの広告ポッド内で個々の7件の入札を落札します。 

広告ポッドと広告サーバーの図

業界全体で広告ポッドをサポートしている場合 

全ての関係者が、OpenRTB 2.6と広告ポッドをサポートしている場合、各DSPは、すべての広告機会をまとめた単一の広告ポッドリクエストを受け取り、それに適切な入札を返します。 

この場合DSPのAは、マクドナルドとナイキの入札を1回のみ返します。さらに同じ広告ポッドに、P&GやLGの入札をする場合があります。 DSPのBでは、重複なくバイエルとコカ・コーラ、フォードの入札を返します。 DSPのCでは、マリオットとドミノの入札を1度だけ返します。 

SSPと広告サーバーの間で、9件の個別の入札を処理して重複する入札を削除し、無駄な処理電力を削減します。 

広告ポッドを利用した入札の仕組み

広告ポッドがサステナビリティを向上する

業界のCO2排出量を削減できる規模は多くの要因に左右されますが、広告ポッドが重大な役割を果たすことは明白です。この例を1つとってみても、広告ポッドは送信する入札リクエストを88%削減できます。また、そのレスポンスを59%削減できます。 

すべての関係者が重複リクエストや入札、クリエイティブを処理する手間をなくすことで効率性を高めてCO2排出量を削減できます。 

そのためには、業界全体でOpenRTB 2.6と広告ポッドへ対応することが重要です。導入の開始について、サポートが必要な場合はお気軽にお問い合わせください。皆様のお役に立てれば幸いです。 

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